カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
代表取締役社長兼CEO
髙橋 誉則
株式会社オートバックスセブン
代表取締役 社長
堀井 勇吾
Profile
堀井 勇吾 1995年オートバックスセブンに入社。2012年に執行役員 内部統制担当、2016年に取締役 常務執行役員 海外事業担当、2020年に取締役専務執行役員 オートバックス事業企画・営業統括兼社長室・事業企画担当などを経て、2022年6月、代表取締役 社長執行役員に就任。経営執行体制の改革に加え、長期ビジョン「Beyond AUTOBACS Vision 2032」や、2024中期経営計画「Accelerating Towards Excellence」を発表するなど、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて強いリーダーシップを発揮。
2008年にポイントアライアンスを提携して以来、マーケティングを軸に企業文化を変革しながらカーライフの広がりを築いてきた株式会社オートバックスセブン。その歩みを、オートバックスセブンの堀井社長とCCC髙橋が共に語り合います。変化を恐れず、新たな視点を取り入れてきた両社の対話には、多くの示唆が込められています。
CCCの視点・発想・発言…あらゆるものが新鮮で。
オートバックスセブンさまにとって、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下CCC)はどのような存在ですか。特に印象深いエピソードがございましたら、お聞かせください。
堀井 とにかくCCCの存在そのものが印象深い。わが社にとってのCCCをひと言で言うと、「文化を変えにきた存在」ですね。CCCは、私たちの長所を伸ばしつつ、短所に気づかせてくれた存在です。出会った当初は皆さんの視点・発想・発言、あらゆるものが新鮮で。「ああ、なるほど」という驚きと発見の連続でした。
髙橋 へえ〜、「宇宙人がやって来たぞ!」みたいなインパクトがあった。
堀井 いや、もう本当に、それくらいのインパクトがありました。特に印象深い出来事をひとつ挙げるなら、2018年11月にオープンした「A PIT AUTOBACS SHINONOME」(※)の立ち上げ時。1997年の開店以来、 21 年間にわたってお客さまにご愛顧いただいていた「スーパーオートバックス東京ベイ東雲」から、まったく新しいコンセプトのフラッグシップ店舗へと生まれ変わったときのことです。
※A PIT AUTOBACS SHINONOMEでは、「クルマもヒトもピットイン」をコンセプトに、商品カテゴリー別ではなく、ライフスタイル別の売り場づくりを展開して、クルマとの新しい楽しみ方を提案。
髙橋 セルフ洗車場に加え、1階にはメンテナンスピット、2階にはカフェやキッズコーナーを併設した「TSUTAYA BOOKSTORE 東雲」があって、クルマ好きはもちろん、ご家族やご友人も一緒に楽しめるつくりになっています。当時、「オートバックスがこんなお店をつくるなんて」と、多方面から注目を集めましたよね。
堀井 このプロジェクトは、私たちに「自分たちは何者なのか」を真正面から問い直して体現する機会を与えてくれました。
髙橋 もともとこの場所にあった「スーパーオートバックス東京ベイ東雲」は、クルマ好きにとって聖地中の聖地じゃないですか。それを「変えませんか?」とCCCがご提案したわけですが、決断の背後には並々ならぬ覚悟があったのではとお察しします。
堀井 当時は、前代表取締役 社長の小林がトップで指揮をとっていましたが、社内でも賛否両論が渦巻いて、私も取締役としてたくさん悩みました。それでも変えようと踏み込めたのは、「新しいことを生み出したい」という強い想いがあったからと認識しています。本気で進化するためには、既存路線の延長線上で小さな修正を繰り返しているだけではダメ。自社にとって象徴的なものですらスクラップ&ビルドして超えていく必要があると、腹をくくったんです。
オープン初日、最初に埋まったのは自転車置き場だった。
思い切った方向転換を経て、どんな発見がありましたか?
堀井 オープン当日の光景が忘れられません。通常の店舗なら、初日の駐車場はクルマで満車になるのですが、「A PIT AUTOBACS SHINONOME」ではじめに満車になったのは、なんと自転車置き場だったんです。ジュニアシートの付いた電動アシスト自転車がズラーッと。
髙橋 自転車置き場ですか! それ、オートバックス史上初ですよね。
堀井 史上初です。私たちの店舗にご来店くださるのは、免許をお持ちの男性ドライバーが大半なのですが、「A PIT AUTOBACS SHINONOME」では、免許をお持ちでないお子さま連れの女性や学生が列をなして来てくださった。
髙橋 それは面白いですね。オートバックスセブンさまが目指す「カーライフの広がり」につながるエピソードです。
堀井 その通りです。CCCの皆さんと出会ったあのころは、自分たちの存在意義を考え直す、まさに転換期でした。私たちはこれまで、商品の価値とサービスのクオリティでお客さまからご支持をいただいていました。しかしこれだけ世の中にモノがあふれ、購買行動も様変わりした今、「モノを買うためにお店に行く」のではなく、「お店に行くこと自体が価値になる」状態をつくらなくてはなりません。お客さまがたとえその日、ふらっといらしてコーヒーだけ飲んで帰ったとしても、「お店に行った」という行動自体が価値となるような、そんなお店を。
髙橋 クルマをピットインしに行くと同時に、人もピットインできるお店ですね。ですが、決断に至るまでの皆さんの葛藤は、痛いほど理解できますよ。私たちも「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI(現在は六本木 蔦屋書店)」や「代官山 蔦屋書店」を立ち上げるにあたって、「本屋とカフェをシームレスにつなげたりしたら、誰も本を買わないのでは」と批判の声が挙がりました。でもいざ蓋を開けたら、お客さまの来店頻度が上がって大きな成功を収めることができた。そうした言葉には尽くせない葛藤を経て、ようやくここまで来ることができました。
堀井 だから、変革期にあった私たちの葛藤を、自分ごととして理解してくださったんですね。
髙橋 私は、オートバックスセブンさまがあのプロジェクトを通じて業界初の先駆的なチャレンジをなさったことに、何よりの意味があると思っています。模倣することは簡単ですが、リスクを恐れず、第一人者として未到の地に踏み出すのは簡単ではありませんから。
Vポイントによって、個々の生活がつぶさに見える。
ところで、現在ポイント業界は群雄割拠の状態ですが、オートバックスセブンさまがVポイント(当時はTポイント)を導入した2008年当時はいかがでしたか?
髙橋 あのころはまだ「ひとつの財布に企業間を超えたポイントが入る」という共通ポイントの概念自体を、なかなか理解していただけない状況でした。
堀井 私たちの店舗は高額商品の扱いが多いので、自店が振り出すポイントも大きくなります。当時、「本当にメリットはあるのか」なんて議論も社内ではありました。
髙橋 そんな中、本当によく賛同いただいたな…と感謝しています。目先のメリットに縛られず、未来を大きく見据えないとできない決断ですから。
堀井 感謝するのはこちらのほうですよ。
髙橋 私はオートバックスセブンさまがVポイントを導入してくださったおかげで、「ポイントマーケティングの可能性」に目を開かれる思いがしました。それまでVポイントの提携先は、エンタメ業界や日用品を扱う小売店がほとんどでした。そこにクルマに特化したオートバックスセブンさまが加わって、ご利用者の移動距離が一気に広がったことが、データベースマーケティングで可視化できた。あのときお客さまの生活の実態が、一段階クリアになって見えたように感じました。
堀井 私たちもVポイントを導入したことで、単に商品を売るのではなく、それを手にするお客さまのライフスタイルをイメージするようになりましたね。各々のお客さまがクルマを使ってどんな時間を過ごしているかが把握できるようになった今では、その方々にどのように寄り添ってアプローチすればいいか、さらには、潜在的なお客さまといかにして出会うのかという発想へと切り替わりつつあります。
髙橋 共通ポイントって、いわば提携企業にとっての「共通インフラ・共通通貨」ですよね。このインフラがあることで、利用するお客さまご自身も、日々の生活の中で提携先のさまざまな店舗を意識するようになります。「今日はこのスーパーで買い物をしたけれど、今週末はオートバックスに行こうか」というふうに。そんなお客さまの姿を解像度高くとらえ、「ちょっと先の未来のワクワクの提案」を販促プロモーションの形でお渡しできたら、媒介であるV ポイントの存在意義はいっそう高まるはずです。
堀井 なるほど。そんな施策を打てたら、私たちも本望ですね。
免許の取得から返納まで、ずっとお客さまのかたわらに。
先ほど、お客さまに寄り添って付加価値を提供するというお話がありました。堀井社長と髙橋社長はこれから先、どんな未来をつくっていきたいですか?
堀井 「A PIT AUTOBACS SHINONOME」を立ち上げた経験を経て、私の中で会社の進化の方向性が輪郭を帯びてきました。ひと言で言うと、「お客さまにクルマで出かける楽しさを提案し続ける会社でありたい」ということです。それは「商品ありき」の考え方から、「お客さまのライフスタイル起点」へのシフトとも言えます。お客さまがクルマとともに人生を楽しむ途上で必要となるモノ・サービス・体験を、心を砕いて提案すれば、お客さまの人生は豊かになり、ビジネスが成立し、社会全体も回っていく。そんなふうに考えるようになりました。
髙橋 素晴らしいですね。その皆さんの決意は、2023年に定めた長期ビジョン「Beyond AUTOBACS Vision 2032」からも伝わってきます。
堀井 宣言するのは簡単ですが、実践するのは生半可なことではありません。
髙橋 本当にそうですね。一人ひとりのお客さまが運転免許を取得してから返納するまで、クルマとともに過ごすその長い期間には、当然環境やライフステージの変化があるはずです。そのときCCCもお客さまのかたわらにいて、知見とデータベースを掛け算してお役に立てる存在でありたいです。堀井さん、これからの時代を担う世代に伝えたいことはありますか? ライフスタイルが多様化している今、「自分はどうあるべきか?」と迷っている人も多いと思います。
堀井 そうですね。今の世は情報にあふれているため、とかく自分の相対的な位置を他人と比較して、立ち止まってしまう人が多いのではないでしょうか。けれど若い世代の方々には、「自分はこうやって生きていくんだ」という軸を見つけて、密度の濃い人生を歩んでほしい。世界にひとつしかないこの人生を、思いっきり楽しんでほしいと思います。そして、人生をさらに豊かに彩る要素としてクルマを活用してもらえたら、最高にうれしいですね。
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