カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

代表取締役社長兼CEO

髙橋 誉則

宮城県

多賀城市市長

深谷 晃祐

Profile

深谷 晃祐 1980年生まれ。宮城県多賀城市出身。仙台市立仙台高等学校を経て、音楽専門学校卒業後、地元への貢献を志し、多賀城市議会議員、宮城県議会議員を経て、2020年10月に多賀城市長に初当選。現在2期目。「温故知新」「報恩感謝」を座右の銘とし、持続可能で活力あるまちづくりに尽力している。趣味は音楽鑑賞など。

CCCにとって佐賀県武雄市、神奈川県海老名市につづき、3館目の指定管理運営となる多賀城市立図書館。多賀城建立から1300年を迎えるこの歴史ある史都において、「東北随一の文化交流拠点」として、市民にどのような価値を提供しているのか。多賀城市立図書館の計画当初から携わられている深谷市長とともにその想いを語ります。

震災復興のシンボルとして誕生した、図書館。

はじめに深谷市長にご質問です。多賀城市立図書館の成り立ちについて教えてください。

深谷多賀城市立図書館は、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下CCC)の皆さんの協力を得て、2016年3月に開館しました。「家」をコンセプトにしたこの図書館は、多賀城市が東日本大震災の復興のシンボルとして位置づけて整備したエリアの中心に位置します。ここ多賀城市には、震災で家をなくされた方がたくさんいらっしゃいます。この図書館が、市民にとっての「新しい家」となるように。そして、何か新しいことを始めるきっかけの場所になるように。そんな想いでつくられました。

髙橋 図書館は3階建てになっていて、同じ施設内に蔦屋書店SHARE LOUNGEのほか、カフェ、レストラン等も併設しています。BOOK & CAFE形式ですから、もちろん館内のすべての本は、コーヒーを片手にカフェの座り心地のよいソファや椅子で楽しむことができます。

多賀城市立図書館 館内の様子

深谷 CCCの皆さんとは、計画当初のコンセプトづくりから建築、オープン後の運営に至るまで二人三脚で走ってきた仲で、オープンからは今年でもう10年目に入りますね。

髙橋 あっという間の9年間でしたね。多賀城市立図書館は、佐賀県武雄市、神奈川県海老名市に続いて全国で3館目となる、CCCが指定管理として担う図書館です。ただ、他の2館は既存の建物を改修したリニューアルオープンであるのに対して、多賀城市立図書館は何もないまっさらな状態で、一から新設・設計に参加させていただきました。そこが大きく違います。

深谷 構想通りの図書館が誕生して、うれしく誇らしい気持ちです。ですが公共施設はつくって終わりではなくて、つくったあと、そこにどんな価値を肉づけしていくかが何より重要です。価値の肉づけにおいて指針となるのは、「不易流行(いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと。)」の姿勢。奈良時代、中央政府の拠点として文化・芸術が花開いた史都であるというこの街の歴史に立脚しながら、今の時代に合った図書館のあり方を探り続けること。その生きた試行錯誤こそ、私たちらしい取り組み方なのではと思っています。

髙橋 本当にそうですね。読む・学ぶなど、従来の図書館の機能を果たしながら、知らなかったことや人に出会えたり、文化の香りを感じられたりなど+αの楽しみが加われば、図書館はもっと魅力的になるはずです。「伝統」と「イノベーション」が隣り合わせに同居することで、これまでのイメージがガラッと変わるような図書館の新しい形を、私たちも10年来模索し続けています。

ふれあいの場が、図書館の外へと染み出している。

深谷市長から、多賀城市立図書館は「東北随一の文化交流拠点」となることを目的としていると伺いました。実際に図書館ができて、人の流れは変わりましたか?

深谷 見違えるほど変わりました。開館時間を午前9時から夜9時半までにしたこともあり、利用者の滞在時間が長いのが特徴です。まさに「家」のような感覚で、街の人々がくつろぎの時間を過ごしているようです。加えて、読み聞かせの会や語学イベント、ヨガ教室など、多種多様なイベントを開催しているので、これまで図書館に足を運ぶ機会が少なかった方々も多くいらっしゃるようになりました。「雨が降ったら図書館に行こう」が、地元の方々の合言葉になっているそうです(笑)。

髙橋 それはうれしいですね。本を借りるための場所で終わらず、多くの方がいろんな目的・いろんなシーンに合わせて利用するようになった。今日も皆さん、ご自身のスタイルで思い思いに過ごしていらっしゃいますよね。

深谷 開館7周年を迎えた2023年には、震災で被災し修復された「復興ピアノ」の演奏会、8周年となる2024年は「図書館で聴きたい音楽」をテーマにしたDJイベントなど、多賀城市らしいチャレンジングな企画も試みています。さらに最近は、地元愛の強い街の皆さんが主役となって、図書館の外でもさまざまなご縁がつながるようになりました。そのひとつが、2023年から駅前広場で開催されている「多賀城蚤の市」です。

髙橋 ふれあいの場が、図書館の外に自然と染み出している。素晴らしいですね! そうした変化を受け、深谷さんから見て、図書館を一緒に育てる仲間にCCCを選んでくださったことのプラス面は何でしょうか?

深谷 私たち行政の人間は、プロジェクトの立ち上げや運営の際、どうしても取り決めやしがらみに捉われがちになります。また、市民の皆さんと行政の二者で話し合いを重ねても、うまく進まない場面もある。CCCの皆さんが加わることでプロジェクトに新風が吹き込まれ、思い切った革新へと踏み込むことができました。多賀城市にとって、なくてはならない存在です。

髙橋 ある意味、私たちが部外者だからこそ、着火剤の役割を果たせるのかもしれません。私は常々、誰か一人だけが頑張るのではなくて、行政・市民・CCCの全員が同じ舞台に上り、持てる力を合わせて新しい価値を生み出すことに最大の意味があると思っています。イノベーションって、みんなで一緒にチャレンジした先にはじめて見えてくるものではないでしょうか。

100回の偽物より、1回の本物に価値がある。

多賀城市内には小学校が6つあり、図書館ではそれらの小学校を巡回する移動図書館も行っていると聞きました。この街に住む若い世代の皆さんに、伝えたいことはありますか?

深谷 子どもの個性や能力はそれぞれです。この先、自分の個性と才能に気づき、開花させる土壌を育むために、ぜひ皆さんには「本物」に触れてほしいと思います。その体験が必ず、皆さんの財産になりますから。世の中にはモノがあふれていますが、100回の偽物より1回の本物に価値があると私は思っています。多賀城市立図書館も、そんな本物に触れられる場のひとつです。

髙橋 同感です。私が若い世代の皆さんに伝えたいのは、失敗を恐れずにチャレンジしてくださいということ。私自身、ビジネスをしていて「打率2〜3割なら上出来だ」と感じています。そして、失敗の中から新しいアイデアが生み出される場面にも多く出くわしています。ですから皆さんには、さまざまな打席に立ちながらチャレンジと失敗を肌身で体感してほしいですね。

深谷 そうそう、感度のアンテナを高く持ちながら。私たちは日々大量の情報にさらされているので、ともすると受け身な姿勢が当たり前になってしまいます。ですが、日ごろから感度を磨いておけば、情報に埋もれることなく、自らチャンスをつかみにいける。私はそう思います。

髙橋 同じ気持ちです。アンテナを高く持つための仕掛けのひとつが、多賀城市立図書館というわけですね。しかもJR仙石線「多賀城」駅前の、一等地に存在している。

深谷 まさしく。ここに来れば、何かを感じられる。そんな感度を磨いてくれる場所が街のど真ん中にあるって、素敵なことだと思いませんか。

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