
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
代表取締役社長兼CEO
髙橋 誉則
株式会社ビッグワン
代表取締役会長兼社長
大村 一夫
Profile
大村 一夫 1947年、栃木県生まれ。1970年、早稲田大学社会科学科卒業後に実家の株式会社油仁(あぶに)商店に就職。1989年に同社代表取締役に就任。FC事業としては、2000年に「とんかつ専門店FC・かつや」(現在10店)、2001年にブックオフコーポレーション(10店)、2002年に「洋菓子専門店・シャトレーゼ」(7店)、2012年にドトールコーヒー(4店)、2018年にエニタイムフィットネス(19店)に加盟。自社初のFC加盟となったTSUTAYA (現カルチュア・コンビニエンス・クラブ)は、子会社の株式会社ビッグワンを設立して展開(14店)。
※全て2025年9月現在の店舗数。
1987年のご加盟以来、TSUTAYAフランチャイズ事業に38年もの長きにわたり尽力されてきた株式会社ビッグワンさま。その歩みと想いを、大村一夫会長兼社長とCCC髙橋が共に振り返ります。地域に根ざした店舗運営の哲学から、未来への展望まで──TSUTAYAとの共創の軌跡を紐解きます。
出会いは、月刊経済誌の特集ページだった。
まず、大村会長とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下CCC)との出会いについて教えてください。
大村 僕と増田さん(※)は同世代でね。増田さんが1951年生まれで、僕が1947年生まれ。団塊の世代なんです。
※カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の創業者であり、現取締役会長である増田 宗昭。
髙橋 4つ違いですか。
大村 そう。増田さんとCCCをはじめて知ったのは、月刊経済誌『商業界』(2025年現在は廃刊)1987年1月号の特集ページでした。茨城県にオープンしたばかりのTSUTAYAの店舗が紹介されていたのですが、1階が書店、2階がレンタルショップになっていてね。ワンフロアをバーンとぜいたくに使う店舗づくりに衝撃を受けて、早速車を走らせ、店舗を見に行ったことを覚えています。
髙橋 おお、そうでしたか!
大村 実際に店舗を見て「これだ!」と直感した私は、すぐさまCCCに電話しました。1987年にフランチャイズ(以下、FC)契約を交わしたのち、茨城県の店舗と同じレイアウトの書店・ビデオレンタル複合店舗「TSUTAYA ビッグワン 氏家店」をつくったんです。それがその年の暮れ。
髙橋 ものすごいスピードですね! それが、ビッグワンさまとCCCとのFC店舗1号店。

大村 はい。「TSUTAYA ビッグワン 氏家店」を建設する前、その場所では家業のガソリンスタンドを営んでいました。ところが、町の区画整理で土地が減歩されることになったため、転業すべきかどうか頭を悩ませていた。特集ページを見たのは、ちょうどそのころでした。
髙橋 それにしても、先代から受け継いた家業を業態転換するとは…思い切った決断でしたね。
大村 当時、親友にも相談したことを覚えていますよ。「喫茶店にするか、本屋にするか…。どう思う?」って。そうしたら彼は、「大村くんは本屋の方が合っていると思う」と背中を押してくれました。
髙橋 そしてそこから、大村さんと増田の永きにわたる関係が始まったということですね。
大村 その通りです。人生には「良き師良き友」が必要だと常々感じていますが、私にとって増田さんはまさに「良き友」。船井総合研究所の創業者である故・船井幸雄さんという方がいたでしょう。増田さんも私も、彼が提唱した「自分の力に応じて、一番になれる『商品』『商圏』『客』をつくる」というマーケティング理論に大いに影響を受け、それぞれ現場で実践しては成果を語り合う仲でした。

TSUTAYAは夢を追うビジネス。だから惹かれた。
髙橋社長にとって、ビッグワンさまはどんな存在ですか?
髙橋 実は、私自身は直接担当させていただいた経験はないんです。ですが、大村さんには出版流通業界の会合でよくお目にかかっていて、ビジネスマンとしての感度の高さに注目していました。書籍・飲食・中古品・フィットネスなど、多彩な分野の企業とタッグを組み、積極的に勝機をつかんでいく姿勢に、尊敬の念を抱いていました。

大村 うれしいですね。でも、ビッグワンが多角化展開するきっかけをつくってくれたのは、ほかでもないCCCですよ。先ほどお話ししたTSUTAYAへのFC加盟は、わが社にとって初のFC加盟契約でしたから。こうして振り返ると私は、TSUTAYAのビジネスに「夢」を感じたんだな。夢を追いかけ続けるCCCの姿勢に触れ、「だったら私も!」と共鳴したんです。
髙橋 何よりうれしい言葉ですね。ところでビッグワンさまは、これまでTSUTAYAをたくさん出店していただいてきましたが、大村さんにとって特に印象深い店舗はありますか?
大村 いくつもの店舗が脳裏に浮かびますが、たとえば、2012年に4,000坪の土地に移転してリニューアルオープンした「TSUTAYA さくら店」。あと、書籍・レンタルのほか、ゲームとトレーディングカード売り場にも力を入れた2017年オープンの「TSUTAYA 佐野店」にも、愛着がありますね。


髙橋 どちらも地元の人々に愛される、本当にいいお店ですよね。なくてはならない地域の拠点だと思います。
大村 併設する他の店舗との相乗効果もあり、どちらの店舗も開店以来今日に至るまで、実にたくさんのお客さまにご利用いただきました。おかげさまでわが社が展開するFCビジネスの中で、TSUTAYA事業は稼ぎ頭です。

お店には、その店固有のストーリーがある。
大村会長に質問です。これまで地域に根ざしたTSUTAYAをつくるために、心がけてきたことは何ですか?
大村 私たちは、栃木県に根ざす地域社会貢献カンパニーとして、「地域を豊かにするには何が必要だろう?」と考え続けてきました。近年このエリアの商圏人口は変わりませんが、レンタルビジネスは縮小傾向にあります。私はこの変化を、この地域の「顧客価値のカタチ」を見つめ直す時だというサインとして受け止めています。まだ模索中ではありますが、ヒントは現場にあることだけは間違いない。それぞれのお店には、その店固有のストーリーが息づいています。そこに目を凝らせば、顧客価値の次なるカタチは見えてくるはずです。
髙橋 大村さんの地域を大切にする考え方には、本当に学ぶところがあります。現場や地域の人たちをきちんと見ること。そして顧客価値を具現化するために、自分たちだけで頑張るのではなく、他社と手を携えてそれぞれの強みを生かし合うこと。私たちもそれを見習って、お客さまに喜んでいただける「書籍」を核とした企画を生み出し、加盟店の皆さんと一緒にその芽を育てていきたい。そう強く思います。
大村 地域に貢献するカタチをひたむきに追求していけば、その途上で築かれた有形無形の資産を、次世代にきっちり手渡すことができる。私はそれを、自分に課せられた最大の使命だと思っています。立ち戻るべき私の原点は、TSUTAYAにFC加盟したときに感じたあのワクワク感です。これからも、お客さまが、そして関わるすべての人がワクワクすることをCCCの皆さんと一緒に創っていけたら、これ以上の喜びはありませんよ。

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