カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

ソーシャルデザイン事業本部 ソーシャルデザインR&D部

有山 篤志

北海道・江別市や山口県・周南市をはじめとする地域拠点で、人と人、人と場所をつないできた有山さんは、いま経済産業省で“共創空間”の運営に取り組んでいます。経済産業省の掲げるミッション「未来に誇れる日本を創るために、より“良い政策”を創造すること」の実現に向けた新しい“共創”へ挑戦している有山さんに、CCCで経験してきたこれまでの取り組みと現在についてお話を伺いました。

まずはこれまでの経歴から教えてください。

2020年に入社して、最初の勤務地は北海道の「江別 蔦屋書店」でした。入社当時に、人事には「地方の現場で、イベントに関わる仕事をしたい」と伝えていたので、希望が叶って嬉しかったです。ただ、ちょうどコロナ禍の時期でイベントがほとんど実施できず、最初の半年は書店の業務を担当していました。レジや品出し、フェアの企画などを通して、お客さまの来店動機について日々考えていました。
ですが、2020年10月に「函館 蔦屋書店」での研修に参加する機会をいただきました。そこで“コミュニティとは何か”を体感的に学びました。函館のイベント担当の方に密着して、地域の方と会ったりイベントを企画したり。その体験を江別に持ち帰って、少しずつイベントを始めることができました。

特に印象に残っている出来事はありますか?

CCCの行動規範にある「好感度人間たれ。好かれなければ情報は集まらない。」という考え方に出会ったことです。函館や江別のスタッフの方々が、社会人という枠にとらわれず、地域の方とまるで友人のように関わっている姿に衝撃を受けました。「自分のままでいていいんだ」と感じられた大きな転機です。

その後、「周南市立徳山駅前図書館」へ異動されたんですよね。

はい。2021年度から山口県の周南市にある「周南市立徳山駅前図書館」に異動しました。役割は、市民の皆さまへ貸し出しをしている交流室の運営と、交流室でのイベントの企画・実施です。印象に残っているのが、1年目の2月に開催された「きさらぎ文化祭」。これは地元の方々と一緒につくる節目のイベントで、「なぜやるのか?」を突き詰めながら関わりました。単に“イベントをやる”のではなく、そこにどんな意味があるのかを大切にするように考え、企画をしていきました。たとえば「感謝」がテーマの年には、館内に「感謝ボード」を設置して、来館者が自由に想いを伝えられるスペースをつくりました。

その想いが通じたのか、市民の皆さまの反応も、とても良かったです。体験型や参加型の企画は、やはり多くの市民の皆さまの心に響くんだと実感しました。「周南市立徳山駅前図書館」では、“未来の私に出会う場所”というコンセプトを掲げていまして、市民の皆さまの将来の夢につながるようなイベントもいくつか行いました。市民の皆さまが、自分の“やってみたい”を持ち寄れる場所であることを大切にしていました。

きさらぎ文化祭で設置した「感謝ボード」
きさらぎ文化祭で披露された三作神楽の演舞会の様子

特に思い出深いイベントはありますか?

小さな公園で開催した花火大会ですね。周南市で2023年から始まったPPP(Public Private Partnership:公共サービスを民間の資金やノウハウを活用して提供する官民連携の取り組み)の一環で、地域の方々と一緒に実現したイベントです。規模は小さくても、人の記憶に残るイベントだったと思います。自分自身も、仕事をしている感覚なく、心から楽しむことができたイベントでした。

現在は経済産業省での勤務と伺いました。

2025年度から、経済産業省内の「共創空間」で創業支援に携わっています。蔦屋書店や図書館とはまた異なる現場で、まるで“転職”したような感覚でした。ですが、イベントを通じて人と人をつなぐ経験は、ここでも活きています。
具体的には、6月4日に共創空間がオープンしたばかりで、使われ方のイメージづくりを進めているところです。ここでは経済産業省の職員の方々の働き方をテーマに、「良い政策をつくるための企画や議論をどう支えるか?」を考えています。

市民ではなく職員の方々が対象なんですね。

はい。初めてのターゲット層ですが、関係構築の大切さは変わりません。まずは名前を覚えてもらう。関係ができた先に「こういうことがやりたかったんだ」と気づいてもらえる提案ができたら理想です。これまでの江別・周南での経験を活かして、今年は提案力をブラッシュアップしたいと思っています。
さらに、仕事への向き合い方にも、変化が出てきました。最初は「言われたことをきちんとやる」がすべてでしたが、今は「どう戦略的に進めるか」も意識するようになりました。特に、勇気が必要な局面や不安な環境でこそ、自分の成長を感じることが多いです。今は反射的に返せなかったり、先延ばししてしまったりした場面に、少しずつ向き合えるようになってきたと思います。

仕事をするうえで心がけていることを教えてください。

江別時代に学んだ「好感度人間たれ」という姿勢は、今も大切にしています。無理に好かれるということではなくて、自分をオープンにすること。ちょっとした会話や質問が、関係をつくるきっかけになる。チームで働く仕事だからこそ、人との接点は丁寧に持ちたいですね。

ご自身の人生やキャリアで、大切にしていることはなんですか?

この年齢ではありますが、健康です。体力、姿勢、見た目も含めた“トータルのウェルネス”を意識しています。自然の中にいることも好きで、風の音を聞くような時間を大切にしています。あとは、転々とすること。いろんな土地に身を置くことで、自分の感性を保ち続けたいと思っています。

今後、CCCでチャレンジしてみたいことはありますか?

「旅をしながら働く」ことです。四半期や月単位で、得意分野を活かしていろんな地域で働くようなスタイルです。遊牧民やノマドのように、自分の足で動きながら、偶然の出会いを楽しんでみたい。その中で、「これが私の得意分野」と胸を張って言える何かを見つけたいんです。そういう働き方をCCCで実現できることを期待しています。

  • TSUTAYAで培った
    運営力を、
    新規事業に
    柔軟に生かす。

  • コンサルタントとして、
    顧客のために変革期の
    CCCで挑戦する。

  • 生活者データを起点に、
    暮らしを豊かにする
    企画をつくる

  • 地域に根ざし、人をつなぎ、
    文化を育てる。
    15周年を迎える
    代官山T-SITEの
    現在地とこれから。

  • 誠実に仕事に向き合い、
    サウジアラビアでの
    出店に挑む。

  • 「約束と感謝」を胸に、
    CCCの未来を中国で築く。