地域の魅力を伝え観光客を呼び込む──
CCCが伴走する高梁地域DMOの取り組み

私たちは、岡山県高梁市の観光振興を地域住民や行政と連携して推進しています。高梁市の豊かな観光資源を広く伝えるために、マーケティングに基づく施策を企画から実行まで伴走型で支援し、地域の皆さんと共に誇りを持てる観光都市の未来づくりに取り組んでいます。

持続可能な観光振興を目指して──地域DMOとは

岡山県の中西部に位置する高梁市は、天空の山城「備中松山城」をはじめ、350年以上続く伝統の「松山踊り」や「備中神楽」など豊かな文化を有しています。「ジャパンレッド発祥の地」として日本遺産に認定された「吹屋ふるさと村」などの産業遺産も点在し、魅力的な観光資源に溢れた町です。高梁市では2020年から地域DMOの取り組みを始め、持続可能な観光振興を目指しています。

DMO(Destination Marketing / Management Organization=観光地域づくり法人)とは、官民が連携して地域の観光振興を一元的に推進する組織です。地域の観光資源を活かしながら、マーケティングやマネジメントを行い、地域の「稼ぐ力」を引き出す役割を担っています。地域の観光関係者や自治体、企業など多様な関係者の合意形成を図り、観光に関するデータを収集・分析して戦略を立て、観光プロモーションの推進などを行います。これにより、国内外からの観光客誘致を効果的に進め、地域経済の活性化や地方創生につなげることが期待されています。

地域に根ざした支援を──高梁市と私たちをつないだ背景

高梁市は1市4町が合併して形成された市であるという背景から、観光に対する考え方や想いが多様で、市としてのまとまりに課題を感じていました。また、生まれたアイデアや企画を実行に移せる人材が不足していることも顕在化し、地域の声を丁寧に聞きながら、施策実施まで伴走できる支援を求められていました。

そうした状況の中でご相談をいただいたのがCCCです。私たちは2017年2月から市の指定管理者として「高梁市図書館」を運営しています。図書館で働く社員の多くが高梁市に移り住み、市民の一員として地域の人々と共に日々を紡いできました。また、「高梁市図書館」は累計来館者数が400万人を超え、地域の賑わいを創出しています。図書館内にある「高梁市観光案内所」もCCCが運営しており、観光案内所を通じて高梁市の観光に大きな可能性とチャンスを感じていました。これまで築いてきた高梁市との深い関わりを活かし、観光分野でもお役に立てると考え、2024年から高梁市の地域DMOに参画させていただくことになりました。

1年にわたる対話──観光戦略の立案と合意形成を推進

地域に根ざして市民の視点を大切にしながら伴走したい、という想いから新たに2名の社員が高梁市に移り住み、地域DMOに参画しました。まずは市としての方向性を一つにまとめるため、行政や経済団体、観光事業者など地域の関係者を集めた「高梁観光みらい会議」を主導し、定期的に開催しました。外部の人間だからこそ、地元の方々が見過ごしがちだった高梁市の魅力に気付けるのではないかと考え、私たちは「よそ者視点」に立ちさまざま提案を行いました。オープンデータによる定量分析や、アンケート調査などの定性分析を重ねながら、観光に取り組む意義や高梁市が持つ観光資源の再評価、そして高梁市が目指す未来像について1年かけてじっくりと話し合いました。こうして対話を重ねた結果、地域資源を収益につなげる観光戦略を立案し、地域関係者の皆さんと合意形成を得ることができました。

高梁市の魅力を届ける──CCCのアセットを活用したプロモーションと商品開発

「高梁観光みらい会議」での議論を通じて、高梁市には魅力的な観光資源が溢れていることを再認識しました。それらの観光資源をより有用化し、観光客の増加と消費を高める施策として二つの取り組みを行いました。

一つ目は台湾での観光プロモーションです。私たちが運営する「高梁市観光案内所」のデータから、台湾からの旅行者が多いことが明らかになりました。岡山への直行便があることでアクセスが良好な点にも可能性を感じ、台湾をターゲットにしたプロモーションを一層強化すること決めました。そこで活用したのが私たちが出店している「TSUTAYA BOOKSTORE台中市政店」です。高梁市に関する書籍や雑貨などを展開し、高梁市の魅力が体感できるプロモーションを行うことで多くの台湾のお客さまの関心を引くことができました。

二つ目は、新たな特産品の開発です。夏の暑さで知られる高梁市ですが、夏でも楽しめる魅力的なスポットやイベントがたくさんあります。そこで、夏に訪れる人を増やそうと、暑さを和らげる商品を企画しました。「高梁市観光案内所」の購買データから、柚子の果汁や皮を加えて作られる米粉や砂糖などを使った和菓子「ゆべし」と「備中神楽面最中」が人気であることが分かり、市内の老舗和菓子店である天任堂の「ゆべし」と三宅製菓の「あんこ」を使用した「さんじゅーろー最中アイス」を開発しました。パッケージには観光客に人気の猫城主「さんじゅーろー」の写真を大きくあしらい、新たな特産品として現在市内8か所で販売され、人気を博しています。

伴走型支援で地域活性化を推進──持続可能な組織づくりへ

地方自治体が抱える最大の課題は、実際に行動し推進してくれる人材(実行者)が不足していることです。私たちは、ただ企画を提案するだけでなく、共に歩み寄りながら支援する「伴走型」のサポートを大切にしています。また、さまざまな定量・定性データを活用することで、施策の実行と改善を効果的に回せる体制を整えています。

今後は、地域DMOの組織づくりにも注力し、地域の皆さまが自走できる仕組みづくりや支援も計画しています。高梁市での取り組みで培った経験を活かし、他の自治体における観光振興にも積極的に貢献したいと考えています。

高梁市図書館:https://takahashi.city-library.jp/

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