職住近接の街に新たなサードプレイスを。SHARE LOUNGE×H¹Tがもたらす、オフィスビルバリューアップの新たな最適解
多様化する働き方に添う「SHARE LOUNGE」。2026年春、晴海トリトンスクエアに野村不動産の「H¹T」とのコラボ店舗がオープンしました。築25年のオフィスビル空中階という立地で、いかに新たな付加価値を生み出したのか。野村不動産株式会社H¹T事業部 部長 椎谷 愛氏、オリックス不動産投資顧問株式会社 投資運用第四部 部長 菊地 理恵子氏、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社SHARE LOUNGE事業管掌 川口 彩の3名に協業の背景と不動産バリューアップの可能性を伺いました。
築25年のオフィスビル。建築費高騰のなかで挑む「新たなバリューアップ戦略」
――まずは、今回「SHARE LOUNGE 晴海トリトン with H¹T」が誕生した背景と、各社が当時抱えていた課題感についてお聞かせください。
菊地氏:
私たちオリックス不動産投資顧問は、既存物件を取得してリノベーションなどで付加価値を上げていくバリューアップを得意としています。しかし近年、建築費の高騰や働き方のかたちが変わったことなどもあり、ハード面(内装や設備)をリノベーションするという従来型の手法だけでは、テナント様に満足いただける十分な付加価値を見出すことが難しくなってきたという課題感がありました。
そんな中、2024年7月に竣工25年を迎えた「晴海アイランドトリトンスクエア」のY棟低層部のアセットマネジメント業務を受託したのですが、築年数が経過したこの物件をどうバリューアップするかは、もっぱらの大きな課題でした。
先行してアセットマネジメント業務を受託・リニューアルしたX棟では、入居者専用ラウンジ等アメニティの整備によって稼働が上昇したという成功体験があったため、Y棟にもラウンジを入れる目論見はあったんです。ただ、ビルの空中階(9階)という立地を考えたとき、ただの休憩スペースだけでなく、高い話題性と希少性を備えた場所でなければ、わざわざ足を運んでいただけないのではという懸念があり、慎重に検討を重ねていました。
私自身、SHARE LOUNGEをユーザーとして利用していたのですが、本に囲まれた心地よい空間で集中も気分転換もできる、あの柔軟な使い方が非常に魅力的だと感じていました。そこで、CCCに出店の相談をさせていただいたのが始まりです。

川口:
オリックス不動産投資顧問から「Y棟のリニューアルに合わせて、テナントの方々が使えるラウンジを作りたい」というお話をいただいたとき、晴海というエリア自体は近隣居住者もオフィスワーカーも多く、ポテンシャルがあると感じました。一方で、それまでSHARE LOUNGEとして「オフィスビルの空中階」への出店事例が少なかったため、一般のお客様が本当にここまで上がってきてくれるのか、という点は未知数であり、私たちの懸念でもあったんです。
ですが、すでに亀戸(※カメイドクロック)で実績のあった野村不動産様の「H¹T」との合同出店という形で話が進んだことで、一気に視界が開けました。これなら平日のワーカー需要だけでなく、土日の近隣住民の方々の利用も含めて、双方の価値向上につながるSHARE LOUNGEならではの強みを活かした事業性が判断できる、と確信しました。
椎谷氏:
私たち「H¹T」は、約8,500社の登録を持つ法人会員向けのサテライトオフィスとして展開しているため、基本的には法人の従業員の方しか使えないクローズドなサービスです。ただ、一般の方からも「使いたい」というお問い合わせを多くいただいていましたし、週末は法人利用が減るため、空間を持て余してしまう時間帯があることが課題でした。
晴海のように職住が極めて近いエリアであれば、閉じられたサービスにするよりも、一般の方にも開放したほうが土地のポテンシャルを最大限に活かせるはず。制限を取り払うことで、空間を有効活用できるニーズが必ずあると考えていました。

互いの強みを掛け合わせる、デベロッパー×CCCのコラボレーションシナジー
――自社単独で展開する場合と、SHARE LOUNGEと「コラボレーション型」として展開する場合で、どのような相乗効果を感じていらっしゃいますか?
椎谷氏:
1店舗目となった亀戸での取り組みでは、CCCに伴走していただきながら地域コミュニティの拠点となる場をつくることができました。亀戸は、「カメイドクロック」という商業施設やレジデンスとしてプラウドも隣接する野村不動産にとっても思い入れのある複合開発エリアです。その中に存在する「SHARE LOUNGE 亀戸 with H¹T」は、地域の方々との接点になるよう、ドッグフードを配布するペットイベントなど、様々な企画を行いました。CCCと一緒に企画することで、単なるワークスペースを超えた「街のコミュニティ」になれたと実感しています。
「SHARE LOUNGE 亀戸 with H¹T」の利用シーンを見ても、休日にパパは仕事、お子さんは隣で宿題をする、というような微笑ましい親子の姿が見られます。閉じられたオフィス空間では絶対に生まれなかった、素晴らしい風景が生まれている。ここ晴海でも、そんな利用が自然と増えていくと思っています。

川口:
そうですね、晴海でも土日の親子利用は自然と増えていて、店内に置いているボードゲームを楽しまれているご家族も多いです。狙い通り、職住近接エリアならではの需要が見えています。
協業プロセスにおける強みの掛け合わせという意味では、野村不動産は非常に強力なBtoBの法人営業力をお持ちです。一方で、私たちはこれまでToCビジネスで培ってきた、店舗のオペレーションやメンテナンスのノウハウ、空間の心地よさを担保する演出力を持っています。ここが非常にうまく噛み合っていますね。店舗運営の面でも、現地スタッフがH¹Tの受付オペレーションと、SHARE LOUNGEの運営をワンストップで効率的に行うことができるため、コストパフォーマンスの面でも大きな価値を生み出せています。
SHARE LOUNGEがもたらすリースアップへの寄与
――不動産投資の視点から見ると、この「SHARE LOUNGE with H¹T」がビルにもたらした具体的な付加価値をどのように評価されていますか?
菊地氏:
エリア全体の「アメニティ(利便施設)」として、オフィスワーカーにも周辺にお住まいのファミリー層にも、家でも職場でもない特別な“サードプレイス”を提供できていると感じています。そして、不動産価値の観点での効果としては、このSHARE LOUNGEが入居している9階フロアは、30〜50坪程度の小分割区画にしてテナント様を募集しているのですが、この区画への入居の引き合いが増えているんです。 物件の内覧時に「ビル内にこのSHARE LOUNGEやH¹Tがある」という点を評価して入居を決められるケースも多く、ビルのリースアップ(稼働向上)に寄与してくれています。 コロナ禍を経てオフィス回帰の流れがある一方で、建築費高騰により新築ビルの供給はタイトになっています。床(面積)を増やしたいけれど、コストや物理的制約で増やせないというテナント様は非常に多い。そんな中、ビル内にこうした高機能なラウンジや会議室があれば、自社の専有部(オフィス内)に無駄な会議室を作らずに済み、オフィス面積をタイトにしてコストを効率化できます。これはビルオーナーにとってもテナント様にとっても、非常に大きなプラスです。
椎谷氏:
それは本当に嬉しいお話です。自社オフィス内に会議室や個室を構えても、曜日や時期によって稼働率が変わり、使わない時間は無駄なコストになってしまいます。繁忙期や本当に必要なときだけ、ビル内のアメニティ(SHARE LOUNGEやH¹T)をスマートに使う。企業側はコストを抑えられ、ビルオーナー側は高い賃料単価を維持いやすくなる。まさに双方にとっての価値を実感いただけて光栄です。
川口:
そうした需要を予測していたからこそ、今回の「SHARE LOUNGE 晴海トリトン with H¹T」では会議室を3室ご用意しました。



菊地氏:
採用面においても、「こんな素敵なSHARE LOUNGEがあるビルで面接が受けられる、働ける」というのは企業の大きなアピールになりますよね。専有部以外の共用アメニティが、ビル全体の強力な差別化要素になっています。


レジデンスから物流施設、食堂まで。あらゆるアセットの価値を最大化する未来へ
――今回の「オフィスビルモデル」の事例を踏まえ、今後のSHARE LOUNGEの拡大戦略や、三社で描く未来の可能性について教えてください。
川口:
SHARE LOUNGEは現在、全国59店舗(※26年7月現在)まで拡大しました。今後は首都圏エリアを中心にしつつ、地方や郊外、大規模再開発への参画なども視野に入れながら、最速で100店舗を目指して出店スピードを上げていきたいと考えています。
今回、「SHARE LOUNGE 晴海トリトン with H¹T」で「オフィスビルの空中階でもToCのお客様を呼び込み、BtoBの付加価値を生み出す」という確かなモデルケースを作ることができました。
私たちは様々なパートナー企業様のアセットや地域の特性に応じて、柔軟な出店プランを企画しながら、各事業者様と共創体制でSHARE LOUNGEブランドを広めていきたいです。今後もこうしたオフィス出店の形もどんどん増やしていきたいですね。

椎谷氏:
私たちは、オフィスだけでなく住宅や商業、ホテルなどを手がける複合開発のデベロッパーです。H¹T単体ですとクローズドなビジネスモデルであるため出店立地や面積に制限がありますが、SHARE LOUNGEと一緒であれば、今回のように広い面積の案件にも果敢にトライできます。
「この案件なら、SHARE LOUNGEと一緒に面白いことができるのでは」という情報交換を今後も密にさせていただき、可能性を広げていきたいです。
また、分譲マンションの共用部(集会所)などは、イベント実施時などの限定的な利用等が多く、空いている時間帯もあります。例えば、野村不動産が手がけた物件では、共用部に住民の方以外が出入りできる動線を設け、普段はH¹Tとして外部にも貸し出すことで管理組合のマネタイズ(管理費補填など)につなげる手法をとっています。「限られたスペースをどう有効活用するか」という思想は、CCCとも非常に共通していると感じます。
菊地氏:
私たちオリックス不動産投資顧問も、オフィスや商業施設だけでなく、住宅、ホテル、さらには物流施設まで幅広いアセットを保有しており、そのすべてにおいて現代のバリューアップが求められています。
例えば、既存の物流施設における就業者向けのラウンジ。ここにSHARE LOUNGEのような居心地のよいワーク&休憩スポットを用意できれば、働く方々の満足度が上がり、企業の「採用強化」に直結するという強いニーズがあります。既存のオフィスや商業にとどまらず、レジデンスや物流といった異なるアセットにおいて、各社と協調し、新しい付加価値を模索していけたら面白いですね。
川口:
素晴らしいですね。他にも、最近では池袋の店舗で「職域食堂(ビル入居者専用の食堂)」をSHARE LOUNGEの中に内包し、時間帯によって形を変えて活用する新しいモデルにも挑戦しています。
「空間のポテンシャルを解放し、新しい価値を生み出す」。私たちはこれからも、不動産のプロフェッショナルである皆様と手を取り合いながら、その街、そのビルに最も求められる柔軟なサードプレイスを全国に広げていきたいと思います。
