データから見えた顧客の声を、店舗体験へ。メガネトップ・Vポイントマーケティング・CCCが挑んだ、顧客起点の店舗変革

全国に1,000店舗以上を展開する「眼鏡市場」。高い認知度を持つ一方で、新規顧客や女性顧客、44歳以下の顧客層との接点を、どのように来店や購入へつなげるかが課題となっていました。特にショッピングモール内のインショップ店舗は、こうした層が多く訪れる立地でありながら、その可能性を十分に生かしきれていない状況がありました。(2026.10.09up)

この課題に向き合うため、株式会社メガネトップ(以下、「メガネトップ」)、Vポイントマーケティング株式会社(以下、「Vポイントマーケティング」)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、「CCC」)の3社は、「眼鏡市場 ららぽーと立川立飛店」のリニューアルプロジェクトを始動。蓄積されたデータとお客様の声から顧客理解を深め、その気づきを店舗体験として形にしていきました。3社の取り組みは、売場や接客を変え、商品企画や組織の考え方にも新たな視点をもたらしました。

眼鏡市場 ららぽーと立川立飛店

「顧客理解」から始まった変革

メガネトップとVポイントマーケティングは、2016年のTポイント(現:Vポイント)との提携開始以降、購買データを活用した分析やデータベースマーケティングに取り組んできました。今回のプロジェクトでも、長年蓄積してきたデータと顧客理解の知見を基盤に、購買データや顧客アンケート、店舗での動線観察などを組み合わせて分析しました。

それにより見えてきたのは、年代によって眼鏡を購入する際の行動や価値観が異なること、そして企業側が想定する商品選びと、実際のお客様の行動との間にギャップがあるという事実です。

Vポイントマーケティング株式会社 コンサルティング アカウント第3野村 知行

Vポイントマーケティング株式会社 コンサルティング アカウント第3野村 知行:
「若い方と年齢層の高い方とでは、眼鏡の買い方に違いがありました。これまで分析してきたデータに加え、今回のアンケートなどから見えてきた違いを整理し、眼鏡市場が新たな取り組みに踏み出すための前提を整えていきました」

データが示したのは、認知度や立地だけでなく、店舗の見え方や商品との出会い方を含めた体験全体を見直す必要性でした。こうした分析結果を踏まえ、今回の実証店舗として選ばれたのが、ららぽーと立川立飛店です。

株式会社メガネトップ ブランド戦略室 室長 齋藤 暁彦氏:
「ここ数年の課題は、新規のお客様、女性のお客様、44歳以下のお客様が少ないことでした。インショップ店であればそうした層を取り込めると考えていましたが、なかなか取り切れていませんでした。立川立飛店は、今後獲得したい顧客層が特に多い店舗だったため、今回のプロジェクトに選びました」

そして課題解決に向けて、メガネトップは外部の視点も取り入れながら新たな店舗のあり方を模索しました。

その背景にあったのは、Vポイントマーケティングとの長年の取り組みを通じて培われた顧客理解と、CCCが手掛けてきた多業種でのリニューアル事例でした。CCCは、オートバックスセブンの「A PIT AUTOBACS」やアカチャンホンポなど、利用者視点から店舗体験を再設計するプロジェクトを支援してきました。

齋藤 暁彦氏:
「Vポイントマーケティングとは長年お付き合いがあり、当社の課題感も理解していただいていました。その中で、CCCが手掛けた他社との共創事例を知り、特に「A PIT AUTOBACS」での女性向けの店舗づくりが印象に残っていました。新規のお客様や女性のお客様との接点を強化したいと考えていた私たちにとって、『こういうアプローチがあるのか』という気づきがあり、私たちもお客様起点で店舗を見直してみたいと考えるようになりました」

株式会社メガネトップ ブランド戦略室 室長 齋藤 暁彦氏

こうして3社は、店舗の改装を検討する前に、まず顧客理解からスタートすることを決めました。

「理想の眼鏡店」を、共に描く

3社が最初に取り組んだのは、「お客様にとって理想の眼鏡店とは何か」を定義することでした。

メガネトップからは、ブランド戦略、商品企画、営業、店舗演出、設計など、複数部門のメンバーが参加。それぞれの専門性や現場経験を持ち寄り、顧客に提供すべき価値を議論しました。

齋藤 暁彦氏:
「私たちは自社の製品に自信を持ち、その良さを理解して買っていただこうという考え方で店舗を運営してきました。一方で、お客様が何を求め、何に困っているかは分かっていても、それを具体的にどう改善すればよいのか、方法を見出せずにいました」

CCCは、顧客理解を深めるワークショップを企画・設計。「理想の眼鏡店とは何か」をテーマに、お客様の不満や期待、各部門が考える店舗像を付箋に書き出し、対話を重ねました。

商品部門、営業部門、設計部門など、立場の異なるメンバーが参加する中、CCCは「お客様にとっての価値」を共通の軸に議論をファシリテート。店舗で実現すべき体験と運営条件を整理していきました。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 地方創生事業開発部 リサーチ&プランニング 東谷 幸亮

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 地方創生事業開発部 リサーチ&プランニング 東谷 幸亮:
「眼鏡店のお客様には、『視力が低い』『見え方に困っている』といった背景があります。その方々の心理や生活背景まで理解することが、お店づくりには欠かせないと考えました。眼鏡市場ならではの価値を整理しながら、どのような体験を提供すべきかを皆さんと一緒に定義していきました」

齋藤 暁彦氏:
「部署や役職に関係なく意見を出し合うことを重視し、実現が難しい案も、なぜ難しいのかまで議論しました。時間はかかりましたが、採用されなかった案も理由が分かるので、全員が納得感を持って進めることができました」

株式会社メガネトップ ブランド戦略室 室長 齋藤 暁彦氏

VポイントマーケティングとCCCは、データを起点に顧客への理解を深め、関係者の知見を束ねながら、事業と体験のあるべき姿を共に描くプロセスを伴走しました。

「ブランドを選ぶ」から「似合うを見つける」へ

プロジェクトの転換点となったのが、「企業が考える売場」と「お客様が求める体験」の間にあるギャップへの気づきでした。

眼鏡市場では、ブランドごとに商品の特徴を伝え、理解や共感を経たうえで、最後に商品を選んでもらうスタイルを重視していました。ところが調査結果から、お客様は「黒い眼鏡が欲しい」「丸い眼鏡が欲しい」「自分に似合う眼鏡が欲しい」といった、自分の目的や求めるデザインから商品を探していることが分かりました。

そこで3社は、売場をお客様の思考や行動に寄り添う形へ見直し、眼鏡選びそのものの体験を再設計していきました。こうして生まれたのが、「似合うが見つかる眼鏡市場」というコンセプトです。

店内には、自分に似合う眼鏡を見つけるための導入ゾーンを設置し、形やサイズ、デザインごとに商品を比較できる売場へ変更しました。
空間設計にも顧客分析の結果を反映しました。通路を広げて回遊しやすい動線を確保するとともに、商品の見つけやすさや選びやすさを重視したレイアウトへ変更。さらに木の素材を取り入れ、気軽に立ち寄りやすく、落ち着いて商品を選べる空間づくりを行いました。

眼鏡市場 ららぽーと立川立飛店

接客のあり方も見直しました。従来のようにスタッフ主導で商品選びを進めるのではなく、お客様自身が商品を見比べながら納得して選べる体験を重視。眼鏡を「選んでもらう」接客から、「自分で見つけていただく」接客へと発想を転換しました。

齋藤 暁彦氏:
「自分に合うデザインを探している段階で声を掛けられると、お客様はかえって迷ってしまいます。立川立飛店では、まずは自由に掛け比べて、ご自身で納得していただく時間を大事にし、その後、相談したくなったタイミングでお声掛けする流れに変えています」

売場、動線、接客を「似合うが見つかる」というコンセプトでつなぎ、お客様が商品と出会い、納得して選ぶまでの体験を一貫して設計しました。

体験設計が生み出した、店舗の変化

リニューアル後に実施した顧客アンケートでは、全11項目の評価が向上。特に改善幅が大きかったのは、「店舗の外観」と「商品の選びやすさ」です。店舗デザインの評判は社内外にも広がり、各地の社員や関係者による視察が相次ぎました。ディベロッパーからも「眼鏡市場のイメージが変わった」という声が寄せられています。

今回のプロジェクトでは、新規顧客、女性顧客、44歳以下の顧客層という明確なターゲット層と、その行動や価値観に合わせて店舗体験を設計しました。その結果、外観や商品の選びやすさに対する評価向上だけでなく、店舗が目指していた顧客層にも変化が現れ始めています。

齋藤 暁彦氏:
「ターゲットとしていた44歳以下のお客様や新規のお客様のご利用は実際に増えています。立川立飛店は、その立地や来店されるお客様に合った店舗になったと感じています」

顧客理解から出発し、コンセプトを定め、それを店舗体験として実装する。今回の取り組みは、そのプロセスが実際の成果につながることを示しました。

眼鏡市場 ららぽーと立川立飛店

ひとつの店舗から、事業の未来へ

こうした成果は、店舗のリニューアルという枠を超え、商品企画や事業の考え方にも変化をもたらしました。
顧客起点で売場を考えるなかで、「ブランドを軸に商品を届ける」という従来の方法に加え、「お客様が眼鏡を必要とするきっかけを軸に商品を届ける」という新たな視点が生まれたのです。

「小顔に見える眼鏡」「手元が見やすい眼鏡」「自宅で気軽に使える眼鏡」など、生活者の悩みや利用シーンからニーズを捉え直すことで、新たな商品開発や店舗展開の可能性も見えてきました。

齋藤 暁彦氏:
「眼鏡市場では多種多様な商品をご提供していますが、お客様の視点で見直してみると、細かなニーズにぴったり合うものが意外と多くないことにも気づきました。お客様が眼鏡を必要とするきっかけから整理してみると、これまでの商品ラインナップの見え方が変わってきました」

立川立飛店をひとつの実証の場とし、そこで得られた顧客の反応や成果を、次の店舗・商品・事業へ還元していく。今回の取り組みで得られた知見は、立川立飛店だけで完結するものではなく、今後の店舗づくりや商品開発にも活かされていく予定です。

今回のプロジェクトは、Vポイントマーケティングの分析力、CCCの体験設計力、そしてメガネトップの商品・店舗運営の知見が掛け合わさることで実現した共創事例です。

VポイントマーケティングとCCCはこれからも、企業や自治体、ディベロッパーをはじめとする多様なパートナーと共創し、利用者起点で事業や地域の未来をつくる取り組みを推進していきます。

株式会社メガネトップ、Vポイントマーケティング株式会社、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
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