「観戦体験」から「来場体験」へ。大阪ブルテオンとCCCが目指す「熱量が伝播する街づくり」

SVリーグ開幕に伴うリブランディングを機に、B to B to Cによるファンベース拡大を目指すプロバレーボールクラブ大阪ブルテオン。ファンコミュニティ「BLUTEON’S HOUSE」の立ち上げや、「枚方T-SITE」でのポップアップ展開をはじめとするリアルな拠点づくりを通じて、デジタルとリアルを掛け合わせた多角的な顧客体験の創出に取り組んでいます。

今回は、株式会社大阪ブルテオン 事業本部 本部長 望月 大亮氏、およびカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 IPエンタメプロデュース 部長 荒井 孝久の2名にインタビューを実施。パートナーシップ締結の経緯から、コアファンを巻き込んだコミュニティ活性化の裏側、さらにはVポイントやデータを活用した地域連携・海外展開に向けた今後の展望について伺いました。
(以下、敬称略)

スポーツのリアルという強みを、デジタルで拡張するコミュニケーション

--はじめに、大阪ブルテオンが、CCCをマーケティングパートナーに選んだ経緯を教えてください。

望月:
CCCの創業の地であり、クラブのホームタウンでもある枚方市は、両者にとってゆかりの深い地でもあり、パナソニックパンサーズ(現:大阪ブルテオン)時代から「枚方T-SITE」での応援フェアや「読書月間」イベントなどの草の根の交流をさせていただき、『いつか本格的にご一緒したい』と考えていました。
転機は2024年、SVリーグ開幕に伴う『大阪ブルテオン』へのリブランディングでした。クラブの課題は『B to B to C』によるファンベースの拡大。当時からリーグチケットのプラットフォームでCRMを行っていましたが、コロナ禍ということもあり母数が少なく、かつ限られた自社リソースだけで対応するには限界がありました。外部パートナーの知見とネットワーク活用を模索していた中で、強大な会員基盤と全国にリアルな拠点を持つCCCの力を借りようと、提携へと踏み出しました。ちょうど、Vリーグの「V」やバレーボールの色も青と黄色で、Vポイントと一緒だったのもご縁かもしれませんね(笑)。

株式会社大阪ブルテオン 事業本部 本部長 望月 大亮氏
株式会社大阪ブルテオン 事業本部 本部長 望月 大亮氏

――マーケティングパートナー提携にあたり、CCCとしては、具体的にどのようにクラブの課題に向き合ってきたのでしょうか?

荒井:
2024年10月の提携開始と同時に、ファンコミュニティ「BLUTEON’S HOUSE」を立ち上げ、熱量の高いファンの創出に取り組んでいます。例えば、オンラインコミュニティで集まった写真を「枚方T-SITE」でギャラリー展示するなど、デジタルとリアルの強みを掛け合わせたアプローチを行っています。「枚方T-SITE」では、もともと大阪ブルテオンと多くの企画をご一緒していたこともあり、現場のスタッフの理解度も深く、非常にスムーズに企画が進行しており、過去3カ月実施したポップアップ展開の実績を踏まえて、2026年10月からは常設スペースも開設しています。

望月:
プロスポーツには、試合会場という絶対的なリアルの強みがあります。一方で、アウェイ戦やオフ期間に、アリーナまで足を運んでもらうことは難しい。だからこそ、デジタルとリアルの双方向からコミュニケーションが取れる「BLUTEON’S HOUSE」の取り組みは、非常に心強く感じています。また、先日「枚方T-SITE」にて「リアルBLUTEON’S HOUSE」と題した選手との交流イベントを開催するなど、デジタルに寄りすぎず、リアルの体験もしっかりと充実させることで、多角的なアプローチによる顧客価値の創出を実現しています。

「リアルBLUTEON’S HOUSE」の模様
リアルBLUTEON’S HOUSE

枚方から世界へ、「BLUTEON’S HOUSE」の展開とは?

――オンラインでの熱量を、「枚方T-SITE」というリアルな店舗で展開(OMO施策)することには、どのような期待がありましたか? 

望月:
ホームゲームは年間で20数日しかなく、ファンや地域の皆様に残りの340日をどう過ごしていただくかも重要です。自前のグッズショップもない中で、店舗でポップアップや展示コーナーを設置いただけるのは非常にありがたい。なかでも「枚方T-SITE」は、幅広い客層が行き交う駅前のランドマークとしてファミリー層やバレーボールに励む子どもたちにもアプローチできる場としても非常に有効だと考えています。また日々厳しい練習を重ねる選手にとっても、ファンと交流できるリアルな接点は、その期待を直接肌で感じることができ、大きなモチベーションに繋がっています。

荒井:
プロ野球などとは異なり、バレーボールは試合数も少なく、またメディア露出が多い競技ではありません。だからこそ、認知・拡大フェーズにおいては、コアファンだけでなく広く一般の方へ届く“きっかけづくり”が重要です。今後はCCCのネットワークを活用し、枚方だけでなくアウェイも含めたエリアで、店舗ごとにストーリーを組み立てながら、リアルイベントを横展開していく予定です。
来年1月には大阪ブルテオン初の海外公式戦がタイで開催されるなど、日本バレーの熱気は今、東南アジアを中心に世界へと広がっています。その中で、2026年11月にバンコクの『One Bangkok』にオープンする『TSUTAYA BOOKSTORE』など、現地で親しまれる日本の文化拠点とタッグを組むことができれば、海を越えた新たなムーブメントも生み出せるのではと、考えています。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 IPエンタメプロデュース 部長 荒井 孝久
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 IPエンタメプロデュース 部長 荒井 孝久

望月:
親日国のタイでは漫画『ハイキュー!!』や日本人選手の世界的な活躍によって日本バレー人気が高く、また親会社のパナソニックとも親和性の高い地域です。CCCと一緒に海外でもコラボレーションが実現できれば、「BLUTEON’S HOUSE」の取り組みもより一層幅が広がると期待しています。

コアファンがさらにコアになる。ファンが教えてくれる楽しみ方

――「BLUTEON’S HOUSE」の運営を通じて、ファンの方々のエンゲージメント(熱量)に変化は感じられましたか? 

望月:
当初は会場に来られない遠方や海外のファンの利用を想定していましたが、実際には普段から現地観戦されている方の参加率が非常に高かったことが印象的でした。また、普段は見られないオフショットなどでコメント欄が盛り上がっている様子を見ると、“試合中継を補完する場”としても、ロイヤリティ向上に繋がっていると感じます。まさに「コアファンがさらにコアになる」という熱量の変化を感じています。

荒井:
先日、横浜で行われたSVリーグの決勝戦前では、「初めて応援に行くのですが、応援の仕方が分かりません」という投稿に対して、コアファンの方が応援のやり方や楽しみ方をシェアするコミュニケーションが生まれていました。“気になっていることを気軽に発信できる場”として、ファン同士が自発的に交流を行い、自然とコミュニティの熱量が上がっていると思いました。

SVリーグの決勝戦の模様
横浜で開催されたSVリーグの決勝戦

望月:
ほかにも「相手にサービスエースを決められた後の沈黙がちょっと気になります…」「じゃあ、こうしましょう」と、細やかな発想やアイデアも数多く溢れています。クラブからの情報発信だけでなく、ファン自らがバレーボールの楽しみ方や解釈を発信してくれる。クラブにとっても新たな気づきを得られる非常に貴重な場でもあります。

ファンの声をカタチにする。来場体験としてのエンタテインメント

パナソニック アリーナ
パナソニック アリーナ

――「BLUTEON’S HOUSE」を軸にして、今後どのような企画が展開されていくのでしょうか? 

荒井:
「BLUTEON’S HOUSE」では、「ファンの声をカタチにする」という共創の理念を重視して運営を行っています。その一環として「BLUTEON’S HOUSE」で募集した、「おすすめの飲食店」をコンテンツ化する試みが進行しています。地元のコアファンが純粋に選ぶ“本当におすすめしたいお店”を冊子などでカタチにすることで、大阪ブルテオンファンはもちろん、アウェイファンとして街に訪れた相手チームのファンのおもてなしに活用する予定です。アリーナの中だけで完結するのではなく、アリーナの”前後”を含めて広げていくことで、スポーツ観戦というエンタテインメントをより豊かなものにできると考えています。

望月:
大阪ブルテオンでは、事業戦略の一つとして「観戦体験から来場体験へ」を掲げています。試合だけでなく、家からアリーナへ向かう道すがら、街で買い物を楽しみ、試合後に余韻に浸るまで、そのすべての時間の価値を高めたい。その観点からも、ファン同士が情報を共有しあえる「BLUTEON’S HOUSE」を軸に様々な企画を具現化できることは、来場体験の質向上に大きく貢献していると感じます。

枚方 T-SITE
枚方 T-SITE

非日常だけでなく、日常にも大阪ブルテオンがある街づくりへ。

――データベースの活用はどのような展望を描いていますか?

荒井:
現在実施しているVポイントの限定グッズ交換をはじめ、ファンの皆様に日常的にVポイントを貯めて使う楽しみを提供しつつ、データをしっかりと分析することで顧客価値の高いマーケティングを実施していきたいと考えています。将来的には、データをもとに自治体とも連携しながら「枚方T-SITE」やアリーナを起点とした地域活性化にも繋げていきたいです。そのためにも、まずは枚方の熱量を最大化し、そこから梅田、全国、そして海外へと伝播させていくことが大切。来場者の属性変化や消費行動をきっちり見極めながら、ファンベースの拡大をご一緒できればと思います。

――CCCというパートナーと共に、今後どのようにスポーツ界全体を盛り上げていきたいとお考えですか?

望月:
クラブとして、試合という非日常だけでなく、日常にも「大阪ブルテオンがある街づくり」を行うことが重要です。だからこそ「枚方T-SITE」をはじめ、生活に密着した商業施設で日常的にクラブが存在感を示せることには大きな意義があります。また、「大阪」の名を冠したクラブとして、ホームタウンの枚方市から大阪府全域、さらには全国や海外へとコミュニティを広げていく段階にあります。ゼロからファンベースを構築・拡大していくにあたり、CCCが保有するビッグデータや知見にアクセスしながら、より広域かつ深いマーケティングの展開に大きな期待を寄せています。

大阪ブルテオン、試合会場の模様

――最後に、ファンの方々、地域の方々に向けてメッセージをお願いします。

荒井:
SVリーグは今季で3シーズン目を迎え、年々熱量が拡大しています。その中で大阪ブルテオンのクラブ、ファンの皆さんと一緒にさらに成長していくことに非常にわくわくします。大阪ブルテオンを中心に、皆さんの生活が豊かになり、昨年とはまた違う景色を楽しんでいただけるように、CCCとしても日常・非日常の両面から企画を磨き上げていきたいと思います。

望月:
大阪ブルテオンは「ALWAYS TO THE TOP, ALL WAYS TOGETHER(常に頂点へ、全途を共に)」というミッションを掲げています。チャンピオンスポーツとしての頂点を愚直に目指す一方で、事業本部としてはファンの皆様と「共に歩む」という姿勢も重視しています。だからこそ、CCCという心強いパートナーに伴走していただきながら、ファンコミュニティや地域イベント、マーケティング活動など、唯一無二かつ顧客価値の高い最先端の事業展開を通じて、ファンの皆様とともに成長し続けたいと思います。

株式会社大阪ブルテオン 事業本部 本部長 望月 大亮氏、およびカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 IPエンタメプロデュース 部長 荒井 孝久
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